East Meet Eastはじめます
以前から予告していた、新しくはじめるスタートアップの件について、いよいよご紹介します。
パートナーは時岡まりこ。オックスフォードのMBAで、ロンドンのスタートアップQuipperの共同創業者兼COOをやってきていた人です。
やることは、アメリカやイギリスなど、主に英語圏の欧米諸国に住むアジア人向けのデーティングサイト。名称はEast Meet East。
アジア諸国は経済の発展がめざましく、人口ボーナスもあって、ますます世界の移民動態における存在感が高まってきています。でも、西欧諸国に住むアジア人は、自分が育った環境と比べて文化的なギャップが大きいので、似たようなバックグラウンドの友人・恋人とまじわる傾向があります。もちろん、あえて故郷を振り返ることなく現地の人と結婚したりする人もいるのですが、全体の統計レベルでみるとやはり圧倒的に同一民族内での結びつきが多数派です。
いろいろな人と付き合ってみたけど、やっぱり最後に結婚する相手を探すとなると、小さな頃に同じようなことを経験し、深いところで価値観を共有できる相手がいい。でもそういう人が周囲に少ない。このような悩みを抱えている人々は意外なほど多く、こうした問題をインターネットの力で解決することには、大きなチャンスがあると考えました。
デーティングサイトといえば、日本語にすると「出会い系サイト」ということで、ややダークなイメージが残っているかもしれませんが、ここ米国では世代をこえて完全に一般化していて、Match.comやeHarmonyを使っていることを公言している人も珍しくありません。むしろ現在では、あまりに一般化したためニーズの細分化・ニッチ化がすすんで、ユダヤ人向けのJDate.comやクリスチャン向けのChristian Mingleなど、バーティカルな市場が立ち上がってきています。そんな市場環境の中で、西欧諸国に移住したアジア人向けという、自分たちの土地勘があるマーケットから攻めていこうというわけです。
ぼくは、渡米してからの8年間、いかにもシリコンバレー的な、エンジニア集団でものを作るというスタンスでやってきました。最初は、インフォテリアUSAの立ち上げでアメリカ人のエンジニアチームで消費者向けネットサービスを作り、その次はパンカクで日本にいるエンジニアチームと一緒にモバイルゲーム向けのプラットフォームを作り、という感じで色々やってきて、Cometを世界で初めて実用化したサービスLingrや、3年間で3000万ユーザまで急成長したプラットフォームPankiaなど、技術的な達成は大きかったのですが、それをビジネスに結びつけるところがうまくいきませんでした。
これらの経験を通じて、自分は何が得意で、何が苦手か、はっきりと痛感したのです。自分でそうありたいと願っていたほどビジネスのセンスがよくないだとか、マーケティングもからっきしダメだとか、認めたくないけれども認めざるをえない弱点が、長年の失敗の積み重ねで、ようやく見えてきたのです。一方で、エンジニアとしてのセンスやバランス感覚には、今でも確固たる自信を持っているということも。
だから、オラクル時代の共通の友人を通じて今回の話を紹介されたときには、すぐにピンときました。トッキーは、冒頭で紹介した経歴からわかるようにビジネスパーソンとして申し分のないキャリアを積んできていて、また実際に話をしていくうちに、事業の難しい局面でも折れることなくやり切ることのできる芯の強さのある人だと感じました。私情を挟むことなく徹底的にロジカルにものごとを考える習慣があり、速いスピードでガンガン意思決定していくという部分ではスタイルが共通していて、しかし片手間では絶対に追いつけないレベルでの専門性を分担するという、理想的なシナジーがあると確信できたのです。
何でも自分一人の力でやろうとして、うまくできなくて落ち込んで、というのは士気が下がるだけでなくて、人間としての成長という観点からもタイムロスです。向上心やガッツは誰よりもあると自負しているけれども、気ばかり焦って何をやっても改善しなくて、さらに焦って。。。という空回りの悪循環は苦しいものです。Paul Grahamも、The 18 Mistakes That Kill Startupsという記事で、スタートアップが失敗する一番目の理由として挙げたのが「Single Founder」でした。だから今回は、モノよりもヒトで決めたし、その直感を信じることにしたのです。
彼女はロンドン在住で、ぼくはラスベガス。地理的に離れているので、週三回のミーティングはskypeベースです。最終的には、メインのターゲット市場となるニューヨークなどのメトロエリアにHQを構えることになる予定です。
開発チームは、イギリス在住のビジュアル・デザイナーのRobと、ブルックリン在住のフロントエンド・デザイナーのScottとぼくの3名、3つのタイムゾーンでガッツリ開発してきており、そろそろベータリリースが見えてくるといった頃合いです。
人材・資金・コネクションなど、さまざまなものがゼロベースからの再出発ですが、なんとしてもこの米国市場・世界市場で存在価値のあるものをつくりあげたい。East Meet East成功のためになら、石にかじりついてでも、つべこべ言わず何でもやるつもりです。
応援メッセージや協業のご提案をいただける場合には kenn - at - eastmeeteast.com まで。各方面にこれから色々とご支援をお願いすることになるかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします!